碧い風にのって… 長野イズム of Hekifuusya Site

top_line2.jpg


line_sub

■〔0005〕長野イズム…

現場へ行き、自らが体感せよ

rise01.jpg最年少の私は機材持ち。PENTAX67に レンズ多数…30kgはある。 清水さん(左)、顔見えないし(笑)

投稿日:2012年9月15日

デスクの中からたまたま懐かしい写真が出てきた。かれこれ二十数年前……1989年10月の某日、西別岳の頂上にてセルフタイマーで撮った一枚だ。これは『 Rise 』 2号の西別川特集での取材シーンである。右から故・長野晃編集長、私、河合大輔氏、清水氏。背景に見える湖は摩周湖。この湖水が起源となる湧水が源となり根釧原野を流れ下るのが、あのスプリングクリークとして有名な西別川だ。長野氏が常に言っていたことがいくつかあった。その中のひとつで、とても共感し私の今のスタイルにもなっているのが、『現場へ行き、自らが体感せよ』である。


rise02.jpg体育座りは河合大輔。せっせと荷造りするは長野晃。 登る準備 !
西別岳は標高が799.8mと、意外と低い頂だ。特にきつい箇所もなく半日で十分往復できる。このカットは登山口で準備をしているところ。現在はトイレや山小屋が建てられているが、当時はただの駐車スペースがあるだけだった。この時の取材内容は西別岳から観る原野と夕焼け。中盤のペンタックス67と標準、広角、望遠レンズ各種とフィルムに三脚。そしてなんと頂上でテント泊するために必要最低限の食料と道具…。ほとんどが私の背中にのっていた。しゃあない、一番年下だし(笑)。


rise03.jpg三人が遅れている私に上から声をかけるが…早く登って来い ! わかってるや !
「何やってるのよ。早く登って来い ! お前来ないと67で撮れないんだぞ ! 」「……ブチっ。わかってるってや、いま写真撮りながら進んでるんだって」 まったくいらつく。重いんだって。いくら楽な山とは言え、背中には30キロ以上の荷物をのせているんだから。自分(長野氏)はいいさ、首からEOSぶら下げてるだけだもの。もう腹立つなぁ。この後、誰よりも先に進んで一等最初に頂上へ着いた。


rise04.jpg西別岳より摩周岳を望む…言葉が出なかった……
頂上に着くといらいらもなくなった。そこにはそんなことがどうでもよくなるくらいの絶景が広がっていたからだ。南側を向くとどこまでも平らな原野が地平線の彼方まで広がり、北を向くと突然荒々しくもどこか心が癒される山並みが展開され、その中に密かに、本当に密かに摩周湖が佇んでいる。肩に食い込む重いバッグを下ろすことも忘れ、私はしばらく無言で360°眺めていた。


rise05.jpg西の空はオレンジに、東の空は紫に染まった地平線がオレンジ色に染まり、雲が燃ゆ !
さあ仕事だ。カメラを数台いろいろな方角へセットする。あとは夕焼けを待つだけだ。そしてしばらくすると…どんどん地平線も低く垂れ込んでいる雲も朱に染まり始めた。太陽はすぐに沈んでしまう。一瞬一瞬で夕焼けの表情は変わる。ものの数分が勝負だ。みんな口を開かずにシャッターを切りまくる。数分後……長野氏が口を開く。
「ここに来なければ観れなかったんだぞ」『大丈夫です。いまもその教えを守ってます』


ページの先頭へ


読む。
観る。
微笑み。


MENU